ヒューマン小説 書評

「三千円の使いかた」原田ひ香/節約がテーマのハートフルな家族小説

2022年1月28日

お金の使い方って難しい・・

そんなお悩みをお持ちの方に、今回は原田ひ香さんの「三千円の使いかた」をご紹介します。

そんなお悩みをお持ちの方に、今回は原田ひ香さんの「三千円の使いかた」をご紹介します。

年代も性格も異なる4人の女性たちのストーリーを元に、お金の使いかたを見直したくなる作品です。

作品情報

タイトル三千円の使いかた
作者原田ひ香
刊行日2021年8月25日
出版社中公文庫
ページ数337ページ

あらすじ

仕事のこと、恋愛のこと、結婚生活のこと、老後のこと。

御厨家の人々は、それぞれ様々な悩みを抱えながら生活しています。

その中でも、お金の使いかたに焦点を当てたハートフルな家族小説です。

年代も性格も異なる4人の女性の視点から、お金の使い方や人生の在り方を考えたくなるような作品ですよ。

祖母、母、娘2人。それぞれのストーリーが描かれる

この物語の主人公たちは御厨家の女性たちです。

  • 就職して理想のひとり暮らしを始めた次女・美帆(貯金30万円)
  • 結婚前は証券会社勤務だった長女・真帆(貯金600万円)
  • 習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金100万円)
  • 花を愛でるのが好きな祖母・琴子(貯金1,000万円)

年代も性格も異なる4人のストーリーが各章で描かれており、連作短編のように構成されています。

たかが三千円、されど三千円?

物語の冒頭は、こんな一説で始まります。

人は、三千円の使い方で人生が決まるよ、と祖母は言った。

え?三千円?何言ってるの?

中学生だった御厨美帆は、読んでいた本から顔を上げた。

「三千円の使いかた」9ページ

本作のタイトルでもありますが、なんとも考えさせられる言葉ですよね。

次女の美帆は独身でお金が自由に使える環境なのに、貯金が全く出来ません。

それに引き換え、長女の真帆は安月給の夫のさらに幼子を育てているにもかかわらず600万円も貯金していることを知り驚愕します。

そこから美帆は自分のお金の使い方や環境を改めて見つめ直し、物語は展開していくことになります。

女性たちの悩みは尽きない

御厨家の女性たちの悩みは本当に様々です。

美帆は挑戦し始めた節約生活に加え、恋愛の悩みも尽きません。節約家の真帆の家庭での様子やママ友との付き合いなども細かく描かれています。

祖母の琴子は73歳にして働きたいと思い始め職探しを始めたり、母の智子は父との熟年離婚を考え始めたりと家族の悩みはさまざまです。

それぞれどんな道を選択し歩いていくのか、結末が気になってしまう内容ばかりです。

「三千円の使いかた」はどんな人にオススメ?

お金の使い方を見直したい、または節約に興味がある人

家族小説が好きな人

ほっこりした小説を読みたい気分の人

おわりに

本作は、様々な年代の女性たちの日常的なストーリーが描かれているので、思わず共感してしまう登場人物がいるのではないでしょうか。

人生の節目で訪れるピンチや試練をどのように乗り越えていくのかをワクワクしながら楽しめる作品です。

家族のつながりには微笑ましい描写も多く、読後はほっこりとできる作品です。

気になる方は、ぜひ読んでみてくださいね。

最後までお読み頂き、ありがとうございました♡

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